写真 © Ken'ichi Suzuki
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YOTSUBAKO

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場所
神奈川県横浜市, 日本
2011

「商業」を「都市空間」へと転舵する

計画地のセンター北駅周辺エリアは、若いファミリー層の人口が増え続ける新興郊外都市の中心地である。その伸びゆく購買力を狙った複数の巨大商業施設が点 在することで、郊外特有の都市景観が形成されているが、これら多くの誘引施設の存在に加え、積極的な都市計画がなされ若く活力のある人々が多く住まってい るにも関わらず、なぜか現実の都市/都市空間として十分に魅力的、とは言い難い状況だった。


これは、意欲的な都市計画によって複数の広場や歩行空間が用意されているのに、都市を形成する多くの大規模商業施設が内に閉じ、これらのパブリックスペースと積極的に関わろうとしていない事に要因がある。客を施設内に囲いこみ消費行為を内部で完結させてしまう戦略は全国的に定石化しているが、多くの郊外都市でも見られるように、それでは都市空間がすたれてしまう。

対照的に国内外の長い歴史を経た都市に数多く存在してきた商店群は都市空間に対して開き、関わりを強める事で商いを成り立たせてきた。商業が都市空間の魅力形成に寄与し、都市空間が魅力的になることで商業もまた繁盛するという正の「循環」がそこでは保たれている。
我々が設計対象として意識したのは、この 「循環」であり、また「都市空間」そのものである。


そこで用意したのは「4つのハコを互い違いに積み重ね、これを透明なガラススキンでラフに覆う」とい う、単純な「構成」である。この「構成」によって従来の「外/内」という対立の図式が「ハコ外・外部」/「ハコ外・内部」/「ハコ内・外部」/「ハコ内・ 内部」という内外が入り交じった関係へと細分化され、都市と建築が滑らかに連続する事になった。

たとえば、異なるレベルにある2つの既存パブリックスペー スの「シンボル広場」や「噴水広場」は、ハコ下の軒先的な中間領域によって商業空間と密接に関係づけられ、テナントで買ったパイを広場の段差に腰掛けて食 べているカップルがいたり、それを眺めながらカフェで寛ぐといったような相互関係が数多く生み出され、それぞれの活用の度合いは相乗的に高められている。 また、そういった2つのグランドレベルの賑わいは全層を吹き抜けるアトリウムを介して上層階にまで伝えられ、ガラススキンによって外部に開かれた景観や、 都市を見下ろすハコ上のテラスの効果等と合わせて、上層階においても都市と商業空間は強く関係づけられている。

更に3階レベルでは隣接する駅と背後の大規模商業施設をつなぐ「公共歩廊」を取り込むことで、都市との一体性はより強められた。
これからの商業建築は内部のみを充実する事以上に、都市空間をいかに持続的に魅力あるものとして計画し、取り込めるかに、その成功が掛かっている。いやむしろ、「時間的な連続体」である「都市空間」の「部分」として、そ れぞれの建築を捉え直す必要があるのだろう。
そのためには従来のような「表層」の操作だけでは不足である。

今回は「表層」を越え出て、都市を含んだ「構成」にまで踏み込む事ができたが、更にはその先の適切な「構築」にまで到る事で、より永続的な都市の価値へと近づく事ができるだろう。今回はそこへ向か う、第1歩だと考えている。

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